基本契約書をめぐるトラブル

 取引の相手方が大企業の場合は、契約締結の際に一定の取引基本契約書を提示してくることがほとんどです。
 そして提示を受けた側は契約書チェックを行い、自己に不利な条項の修正を相手方に提案することになります。

 ここで問題なのは、こちらの修正提案に対して相手方が頑として譲らない場合が多いことです。この傾向はある業界のメーカーに特に強いです。
 契約は当事者の「合意」ですから、相手方が同意してくれない場合には「合意」になりませんので、結局泣く泣く条件をのむしかないかといえばまだ早すぎます。

 まず、基本契約書はそのまま締結すると同時に、基本契約書の変更合意書も締結する方法があります。
 これは、各事業部には一定の範囲で個々の条件を変更する裁量権があるはずですから、その裁量の範囲内で微調整をするということです。
 これで実質的に基本契約書を修正したと同様の効果を得る事ができます。

 それではこの変更合意書も締結してくれない場合には、どうしようもないのでしょうか。これはかなり厳しい状態ですが、手が全くないというわけではありません。
 それは、当該条文の文言の解釈について、メール・FAX等で当事者の合意を確認することです。
 例えば、抽象的な文言について、具体的にはこういう意味であるとメール上で合意するわけです。
 但し、この方法は例外的なものであり、裁判で必ずしも認められるとは限りません。